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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

江利チエミさんと大原麗子さん…つらすぎる女優の孤独死

公開日: 更新日:

 高倉健さんとの離婚からすでに11年の月日が流れていた江利さん。仕事が終わると自宅で独り好きなお酒を飲む生活だったという。この話で思い出すのが、健さんと離婚して3年後に出したシングル曲「酒場にて」だった。歌詞の一節に「あのドアを開けてみたって あなたはいない 暗い闇が私を待ってるだけよ」の一節。江利さんの心情が伝わってくるようだった。普段飲む酒はウイスキー。よく牛乳で割って飲んでいたという。

「その夜は、風邪気味だったこともあり、飲んでそのまま寝込んでしまったらしい。夜中に突然、気持ち悪くなり吐いた。水割りだったら助かったかもしれませんが、牛乳割りだったために嘔吐物が気管支に詰まってしまった。自ら電話で助けを求めようとしたが電話機までたどり着けずに」

 父親の無念さが伝わってきた。健さんは毎年、命日には必ず墓参りに訪れる。実家では「毎年、桐箱入りのお線香を送ってくださる」と語っていた。

■インターホン越しの声はあの時のまま


 大原麗子さんも孤独死だった。乳がんやギラン・バレー症候群などを患い晩年は病気との闘いで仕事を離れ自宅で復帰に向けて懸命にリハビリに励んでいた。世田谷にあった豪邸で独り住む大原を訪ねたことがあるが、「取材に来てくれてうれしいけど、今はとても人に会える状態ではないので、ごめんなさい」と丁重に断られた。しかし、インターホン越しの声はウイスキーのCMの名ゼリフ「少し愛して、長く愛して」のままの甘い声。生の声が聞けただけで取材を忘れ舞い上がっていた。

 それから数年後。自宅で不整脈による脳内出血で倒れ帰らぬ人となった(享年62)。死後3日経って弟に発見された。あまりにつらい訃報にメディアも言葉を失っていた。  =つづく

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