「アンサング・シンデレラ」で石原さとみが抱えるハンディ
医療従事者に対する視聴者の意識も、“コロナ前”とは大きく違ってきている。テレビコラムニストの亀井徳明氏は「番組の裏話的な事情は視聴者には関係ないでしょうが、ネット上の書き込みを見ていると気になることがあります」と、こう続ける。
「医療従事者以外の誰でも、患者として“医療”の現場に触れることはあるわけです。だから医療ドラマのリアリティーの有無は、それぞれが感じて意見できる。従来はその中で、ドラマというフィクションを楽しんでいたのが、最近は“あり得ない”というだけで批判する視聴者が増えているように感じます」
「アンサング――」は初回を見る限り、薬剤師を下に見る医者がいて、インスリン注射の加減を自分で変えてしまう患者がいる。そしてヒロインは、患者に思い入れが強過ぎて勝手な行動に出る。
「2016年放送の連ドラ『地味にスゴイ!』で石原さんが演じた“校閲”という職業は、業界の人間ならよく知っていますが、一般的にはマイナー。だから、実際にはあり得ないファンタジーも許容されたのでしょうが、今回の“薬剤師”は誰もがイメージできる職種です。ましてコロナ禍で“新しい日常”になり、医療従事者に対する思いも以前とは変わってきている。だからこそ見る目が厳しくなってしまうんでしょう」(亀井徳明氏)
近年、視聴率で苦戦しているフジ“木10”。それに加えた数々の新たなハンディを、石原は覆すことができるか。