赤塚不二夫編<2>赤塚家の猫「菊千代」への取材が結んだ縁
奥の専用座椅子に座っていた先生。時刻は3時ごろだったが、すでにお酒が入っている様子。
「君はお酒を飲むの」と聞かれたが、仕事中を理由に一時は断った。菊千代の話に入る前に先生から質問が来た。
「君は普段はどんな取材をしているの」
「芸能記者として芸能人のスキャンダル記事が多いですね」と答えると、「男と女がデキているとかって話。くだらないことしているね」と笑った。
笑って返すしかないところに、夫人が合いの手を入れてくれた。
「赤塚先生のギャグ漫画も相当、くだらないと思いますよ」
3人で大笑いした後、先生の言葉がその後の記者人生の励みになった。
「世間から見れば“くだらない”と思われている仕事でも、一生懸命やることに価値がある。僕もアンタも偉い!」
芸能人との付き合いも多い赤塚氏。「〇〇をうちでかくまっていたことがあった」と驚きの話もあったが、ようやく菊千代の話に入るころには、私のお茶は勧められるままにお酒に変わっていた。