「いっちょうけんめいやります」誕生秘話…二つ目昇進時に

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「いっちょうけんめい」は、それほど定着したキャッチフレーズなのだ。

 二つ目になると、一朝は同世代の仲間と「若手花形落語会」を結成する。メンバーは、柳家さん喬、五街道雲助、柳家小里ん、入船亭扇遊など、現在寄席の主力になっている連中だ。一朝は定期公演でネタ下ろしに励んだ。現在、持ちネタは150席を超えるが、ほとんどは、前座と二つ目の時代に覚えたものだという。

「柳朝が『とにかく噺を覚えろ』とうるさいほど言ってたのは正しかったんです。確かに、若い時分に覚えた噺は忘れなくて、何十年ぶりに思い出しながらやってみると覚えてるもんでして」

 古今亭志ん朝の十八番「火焔太鼓」も覚えた。

「うちの師匠と志ん朝師匠は<二朝会>という会をやっていたくらい仲が良かったんで、師匠が『火焔太鼓を教えてくれ』と、家に志ん朝師匠を呼びつけた。稽古してもらうのに(笑い)。その場にあたしがいて、聞いてて覚えちゃった。もちろん恐れ多くてやりませんでしたけど」 =つづく


(聞き手・吉川潮)

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