「麒麟がくる」最終回 NHKは高視聴率で菅政権を見返せるか
■菅首相から目の敵に
現場とは違った意味で、「麒麟がくる」の視聴率が気になっているのがNHKの経営陣だ。菅義偉政権になってから、なにかと圧力を受けることが多くなっていて、これを看板番組の高視聴率ではね返したいという思惑があるという。
「菅総理が総務大臣のときから言っていた受信料値下げをのまされ、ニュースウオッチ9では有馬嘉男キャスターが打ち合わせになかった質問を総理にしたと官邸に文句を言われ、河野太郎ワクチン大臣からは、接種時期をめぐってフェイク呼ばわりされるなど、NHKはいま目の敵にされています。背景にあるのは、総理のNHK嫌いなのですが、前田晃伸会長は『国がやってる放送局じゃないんだから』と強気です。番組が人気なら『NHKは国民に支持されている』と突っぱねることもできるので、これまで以上に視聴率に神経質になっています」(メディア評論家)
無観客放送で心配された去年暮れの紅白歌合戦は、第2部の世帯視聴率40.3%、瞬間最高視聴率47.2%と、最近にない好調だった。連続テレビ小説も、作曲家の古関裕而をモデルにした前期の「エール」は何かと話題になり、あとは後期の「おちょやん」、そしてあしたの「麒麟がくる」に頑張ってほしいというところだろう。
通常国会では、受信料値下げやBS・ラジオの事業縮小を盛り込んだ放送法改正案、NHKの新年度予算案が審議され、政府・与党の「思い通りにならないNHK」へのいちゃもんも続く。敵は本能寺ではなく、永田町にいる。
(コラムニスト・海原かみな)