ウォルトディズニーになろうとしたワンダ会長王健林の野望
一方、「中国版ウォルト」王健林は、本家ディズニーを上回るペースで11カ所ものテーマパークを開設。上海ディズニーランドに対抗するように同時期の江西省にオープンするなど対抗心を隠そうともしなかった。
これら建設ラッシュは専門家も採算性に疑問符をつけるほどで、じっさい施設の一部はのちに売却を余儀なくされたものの、それでも彼は立ち止まることなく映画・エンタメ業界の王となるべく突っ走っていった。
そんなトップの強い影響のもとで作られたのが「グレートウォール」というわけだ。アンディ・ラウやジン・ティエンらアジアの俳優も大挙出演、とくに中国スター勢が鬼神のような活躍を見せる大アクションとなっている。主演のハリウッドスター、マット・デイモンはほとんど噛ませ役みたいなもので、中国軍人の高貴なる精神に影響され、ひれ伏す役回り。まさに中国資本ここにありな中国マンセー映画だった。
その後、ハリウッドに落とされるチャイナマネーは、こうしたわかりやすい形ではなく、トランプ批判をするアメリカ人の監督作品へ投資するなど、いわば裏方へと回り現在に至る。米国世論への働きかけという意味ではある意味、巧妙になったといってもよい。だが17年のこのころは、まだまだこうしたヤンチャな映画を作れるくらいイケイケだったのだ。