実写化に続きNetflixが配信「岸辺露伴は動かない」の魅力
だがよく考えると、その恐怖体験よりも恐ろしいのは「人間の心の弱さ」に漬け込んだ形で、その恐怖となる出来事が起こるというところにある。「もっと幸せになりたい」という欲望や自尊心がトリガーとなって、一見ありえないシチュエーションを引き起こしているが、描かれているのははまさに「私たちの日常にきちんと存在している恐怖」と言えるだろう。
呪いや悪霊という類の"得体の知れない恐怖"よりも、得体の知れている"生きている人間"が実は、とても一番恐ろしい。
しかしそんな出来事に巻き込まれても、岸辺露伴はその"心の強さ"と"素直さ"でその出来事を経験として語ることができる。
執着でも、自尊心でも、卑下でもない本当の"素直さ=心の強さ"こそが、今必要な「強さ」なのかもしれない。