TVが主戦場の芸人はマイルド関西弁 コテコテ時代の終焉か
長引くコロナ禍の影響からか、この春の新番組はお笑い系が格段と増えた印象だ。鬱々とした気分を笑いで吹き飛ばそうということだろうか。
その中でも見ない日がないのが、千鳥とかまいたち。千鳥は現在コンビでのレギュラー番組が11本。かまいたちはコンビで6本、濱家が2本、山内が1本のレギュラーを持ち、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。共通しているのはコテコテの関西弁ではないこと。千鳥は岡山、かまいたちも濱家は大阪だが、山内は島根出身と関西色が薄い。コテコテの関西弁とはちょっと違うマイルド関西弁が受け入れられている。
3月29日からTBS系「ラヴィット!」のMCを任され、TBSの朝の顔になった麒麟・川島明も京都出身。昨年のM-1王者マヂカルラブリーの野田クリスタルは神奈川、村上は愛知の出身。「有吉の壁」のMr.パーカーJrや悪い顔選手権など独自の笑いで人気のチョコレートプラネットは長田庄平が京都、松尾駿が神奈川出身だ。
ひと昔前まで吉本といえばコテコテのイメージが強かったが、今や脱・関西弁が主流になってきた。とくにキー局のテレビを主戦場にする芸人にとっては、いかにコテコテをなくすかというのが課題かもしれない。
奈良出身の明石家さんまが東京に進出したのが70年代後半のこと。バラエティーだけでなく「男女7人夏物語」などの主演ドラマでも関西弁で演じて関西弁を一気にメジャー化させた。以来、コテコテ以外はお笑い芸人にあらずのイメージさえあったが、その時代も終焉が近づいてきたか。
ローカルに鉱脈あり
実際、畳みかけるようにしゃべり倒す関西弁は苦手な人も多い。余談だが大阪人としては一言。巷間いわれるコテコテ関西弁は吉本芸人の公用語でむしろ河内弁に近く、市井の人はあまり使っていない。笑福亭鶴瓶や小籔千豊のようなもっちゃりしたしゃべりが本来の大阪弁と思って欲しい。
それはともかく、福岡出身の博多華丸・大吉、北海道のタカアンドトシ、吉本以外でも広島の有吉弘行やアンガールズ、宮城のサンドウィッチマンなどというように出身地の違う芸人が活躍するのはいいことだ。
彼らは全国区で売れた今も出身地のローカル局でレギュラー番組を持つという地元愛の強いところもいい。民放のテレビもキー局一点集中ではなくローカル局の面白い番組はネットしたり、一緒に番組を作ったりすればいいのに。実際、この春からレギュラー化した日本テレビ系火曜19時の「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」は中京テレビ、フジテレビ系土曜「オトナの土ドラ 最高のオバハン中島ハルコ」は東海テレビ制作で、どちらも面白い。
人も番組もローカルに鉱脈あり!