死の淵を見た星野源“日常を守る姿”が新垣結衣を魅了した?
エッセイでは仕事中毒だった星野が、ベッドの上で苦痛に耐えながら、ただ心臓を動かすだけの日々を過ごし、消灯を過ぎると、隣の病室からはおじいさんの恨み言が呻き声と共に聞こえてくる毎日がつづられている。その上で、「生きるとは」「日常とは何か?」を追求し、そんな地獄のような自問自答の日々を経て、星野は「普通の尊さ」と出会っていく。読みながら思わず、何度か泣いてしまった。
入院中の13年に彼がリリースした楽曲「地獄でなぜ悪い」で、星野は<無駄だ ここは元から楽しい地獄だ 生まれ落ちた時から出口はないんだ>と唄い、逃げ恥主題歌の「恋」では<意味なんかないさ 暮らしがあるだけ ただ腹を空かせて君の元へ帰るんだ>と唄った。
星野はこの世は地獄だと思い知ったからこそ、「普通の日常の尊さ」も知ることができたのだろう。誰のどんな金言よりも、その事実が何よりも筆者を救ってくれた。
■非凡な二人の不思議な奇跡
“普通”でいることは実はとても難しい。それが凡人では戦えない芸能界にいる人間なら尚更だ。17年に出版されたエッセイ「いのちの車窓から」(KADOKAWA)で星野は新垣のことを「本当に素敵な、普通の女の子」と表し、新垣が普通でいることの“努力”を讃えていた。