山口洋子は「波瀾万丈の3冠王」 権藤博は弔辞でそう述べた
■お別れ会で権藤博が弔辞
話は2015年まで進む。前年の9月6日に呼吸不全で他界した山口洋子のお別れ会が、港区のホテルオークラで開かれた。往年の夜の蝶はもちろん、芸能界、政財界、文壇と各分野から豪華な顔触れが揃った。さながら「姫学校の同窓会」といった様相を呈する中、まず弔辞を述べたのが権藤博だった。
「50有余年、何をしゃべっていいかわからないくらい、思い出がある」と、なんとも言えない様子で切り出した。次いで「『よこはま・たそがれのモデルは俺か?』って尋ねると『バカっ』って怒られました」と、一転しておどけたように言うと、場内は大きな笑いに包まれた。つらい別れは遠い過去となっていた。
「クラブでトップに立ち、作詞でトップに立ち、作家でトップに立った。波瀾万丈の3冠王でしたね」と野球人らしくまとめると、「ゆっくり休んで……お休みなさい」と締めくくった。
おそらく、半世紀以上ぶりになる「お休みなさい」は、事情をよく知る多くの列席者の胸を打ったはずである。(つづく)