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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子は「波瀾万丈の3冠王」 権藤博は弔辞でそう述べた

公開日: 更新日:

■お別れ会で権藤博が弔辞

 話は2015年まで進む。前年の9月6日に呼吸不全で他界した山口洋子のお別れ会が、港区のホテルオークラで開かれた。往年の夜の蝶はもちろん、芸能界、政財界、文壇と各分野から豪華な顔触れが揃った。さながら「姫学校の同窓会」といった様相を呈する中、まず弔辞を述べたのが権藤博だった。

「50有余年、何をしゃべっていいかわからないくらい、思い出がある」と、なんとも言えない様子で切り出した。次いで「『よこはま・たそがれのモデルは俺か?』って尋ねると『バカっ』って怒られました」と、一転しておどけたように言うと、場内は大きな笑いに包まれた。つらい別れは遠い過去となっていた。

「クラブでトップに立ち、作詞でトップに立ち、作家でトップに立った。波瀾万丈の3冠王でしたね」と野球人らしくまとめると、「ゆっくり休んで……お休みなさい」と締めくくった。

 おそらく、半世紀以上ぶりになる「お休みなさい」は、事情をよく知る多くの列席者の胸を打ったはずである。(つづく)

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