アウシュビッツの映画こそ日本人には特に薦めたい
自民党総裁の座布団が誰が回ろうが、何も起きないしどうでもいいぞ。それより、若者たちに早くワクチンだろが。都内の臨時会場に朝から並ばせておいて、揚げ句に「抽選」なんてマヌケなことをやらかしていたが、呆れて二の句が継げなかった。そもそもあんな頼りないワクチン大臣一人に任さないで、何か他にもっと手配できなかったのか。誰一人「責任は私が取る」と言ったことなどないし、なりゆきばかりみている“お伺い”政治ばかりしてきたムラ社会でみんなで和することしかしない国だから、だ。
今の若者もよく我慢できるもんだ、よく暴れ出さないもんだ。1960年代末期の若者だと間違いなく暴れていたな。総裁選なんかやってる場合か。
ウイルスは居座っているが、夏はもう終わりかけだ。今年は「日本の戦争」についての映画は何もなかったが、ユダヤ人迫害の悲惨極まりそうな「ホロコーストの罪人」というのが、残暑に合わせたように公開された。「これを見ないでやり過ごす気か」と言われてるようで気になった。
アウシュビッツ収容所の関係者らの証言を撮った9時間30分の一日がかりのドキュメンタリー「SHOAH ショア」(1985年)や、収容所の虐殺を手伝わされたゾンダーコマンドの酷い姿を追う「サウルの息子」(2015年)など、ナチスを断罪する作品は今まで見てきたので、もう見たくなかったのだが、このノルウェーの新作では、自国の警察署や一般人がユダヤ人強制移送に加担し、ユダヤ人一家が引き裂かれた実話が初めて明かされるというので、これも映画屋の義務だと思って見たのだ。やっぱり、やりきれなかった。ひとえに出演者ら全員の演技が迫真で胸がつまる。ナチスドイツ占領下の自国の大罪を、自国の映画人たち自らが暴いていた。貨車でアウシュビッツ送りになる場面を見るたびに思うのは、ユダヤ人の差別はなぜなのか、旧約聖書でモーゼが虐げられたヘブライ人を連れてエジプトを脱出した話もだが、迫害の歴史はいつまで遡ればいいのか、ユダヤ教徒は彼らの唯一神と何を契約したかとかだ。昔の「十戒」(1956年)を見直してもなかなか分からないのだが。