著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<67>「気を付けてね」笑顔で見送るドン・ファンと永遠の別れ

公開日: 更新日:

「元気そうやね」

「幸助さんも元気そうで良かったわ」

 奥さんはドン・ファンよりも年配のようで、親しく言葉を交わしている。施設はずっと前に倒産したからなのか、奥さんはサバサバした表情だった。

「相当に大きな施設ですよね」

 私は感心したように周囲に目をやっていた。

「そうや。創業者は勝算があったから銀行に断られてもワシに頼んできたんや。相当儲けたと思うで」

 本館近くには動物を飼っていた名残の檻もあった。その中に翼を広げると2メートルほどにもなるイヌワシが1羽だけ飼われていた。20年ほど前から飼われていたらしく県の飼育許可証も張られていた。せいぜい10メートル四方の檻で、エサを与えられることに馴染んでしまったイヌワシが惨めに見えた。大空を飛んで獲物を見つけなくなったことに満足しているのだろうか? いいや、そんなことはないだろう。檻の前で翼を広げて威嚇する姿を見ながら私は悲しくなった。

 20年も檻の中で飼われていたイヌワシが外に出てもエサを取れる保証はない。このまま檻の中で一生を過ごすことに対して人間のエゴを感じざるを得なかった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動