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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

「分配」ばかり唱えてる岸田政権にすがっていくのか、抗うのか

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 昨日は“10.21”。昔からそう呼ばれてきた「国際反戦デー」だった。1966年の10月21日に労働組合の総評を中心にベトナム反戦統一ストを決行し、世界の反戦運動に向けて「共闘」を呼びかけたのが始まりだ。日本の働く大人たちがここまで意識してストをするほど、戦争が近隣諸国を巻き込んで起きていたのかと思うと、改めて、時を遡ってみたくなった。

 ベトナム戦争に、日本は米軍基地から爆撃機を出撃させ、米空母を寄港させて、米軍の兵站地となって戦争協力していたのは確かだ。東西陣営の代理戦争でもあったベトナム戦争で、日本も日夜、べトナム人を殺しているんだと罪悪感を抱く人が多くいたのも事実だ。

 68年の10月21日は、東京の新宿駅で騒擾罪(後の騒乱罪)が適用されるほどの暴動があった。新左翼系学生や労働者たちが、米軍用ジェット燃料タンク車「移送阻止」を掲げ、夜の東口広場で数千人でゲバ棒と火炎瓶で武装して集会を開き、機動隊と衝突して構内に乱入、敷石を砕いて投げて列車に放火、何千人もの野次馬大衆も加わり、翌日まで駅機能をマヒさせたのだ。我らは高1で15歳。関西でテレビの報道特番にクギ付け。「わぁ、これが革命か」と興奮していた。その数カ月前には、パリの学生街で起きた「五月革命」の勢いで、「勝手にしやがれ」のゴダール監督たちがカンヌに「ブルジョア映画祭粉砕」と乗り込んで映画祭を中止させたニュースもあって、遠くのことでも心が躍って、「そうや、そんな権威主義の祭りなんか潰してまえ」と高校の食堂で仲間と気炎を上げていたのを思い出す。

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