絢香15周年ツアー体験記 シルバー世代も沸きまくった歌唱力と“照明の妙”

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 歌手の絢香(33)が23日、デビュー15周年を記念したライブツアー「もっといい日に」を代々木第1体育館(東京)で開催した。

 9月から始まった全国ツアーは実に2年半ぶり。2019年10月に第2子を出産。コロナ禍もあり、さまざまな変化の中、開催されたライブで、この日はセミファイナル。本ツアーの中でも一番の観客動員数を誇る会場だった。

 祝日ということもあり、入場はスムーズ。アリーナクラスとなると一般的に花道やセンターステージを作るものだが、感染予防対策のため、正面のメインステージのみ。座席は1席ずつ間隔を空け、花道が座席に代わり、多少還元された様子だ。

 会場は満席。驚いたのはファンの年齢層の高さだ。ファンは絢香と同世代から少し上の30代から40代がほとんどと想定していたのだが、実際は6割程度。なんと60代以上のシルバー世代が2割は確実。2階席からアリーナを見下ろすと、シルバー世代とわかる白髪のファンも目立ち、横を見ればシルバー夫婦。体感的には2、3割はいるようだ。チケット購入すら面倒な世代がこんな最中でも足を運ぶのは珍しいだろう。

最高潮の盛り上がり

 本来なら1.3万人収容できる会場で、ステージはギター、キーボード、コーラス3人、絢香を含めてたったの6人。コーラスの3人は今回限りの特別メンバーだと説明していたので、通常ツアーは3人で公演していたことになる。そんな少人数で、ステージが務まるのかと心配になったが、絢香が登場すると圧倒的な歌唱力で一気に払拭。デビュー曲の「I believe」、NHK紅白初出場曲「三日月」を続けて演奏。2大ヒットを続けて披露するのも15周年ならではで、最高潮の盛り上がり。2年半ぶりのツアー、2児の母となり多忙にもかかわらず、声にブレがなく、全曲完璧に歌い上げた。

 感染対策で外気が入るため、トイレに中座する様子も散見されたが、係員が足元を照らし、会場に戻るタイミングを曲の合間にするなど、他の観客に気にならない配慮も万全。これもライブが開催されてからの新たなルールのようだ。

 たった6人のステージを埋めたもうひとつは“照明の妙”。以前なら紙吹雪を使っていたであろう部分も照明で演出。まるで絢香のまわりに紙吹雪が舞っているかのように見え、同時配信のdTVライブを見た人は紙吹雪にしか見えなかったというほど。コロナ禍で照明演出に予算をかけているのもあるが、演出のクオリティーはますます上がっている。

 絢香といえば、09年に水嶋ヒロ(37)と結婚、病気療養を機に所属事務所の研音を退所。レコード会社の契約もいったん解除し、11年に再始動している。そんな背景も含めて、ステージがシンプルでも、後ろ盾が変わろうとも、アリーナクラスを“満席”にできる絢香の圧倒的な歌唱力。アーティストもコロナ禍でより実力主義が進んでいるようだ。

(取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ)

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