<146>早貴被告が運転するベンツは時速150kmの猛スピードで大阪方面に向かった
■SAで1時間近く停車
南紀田辺ICに入ったベンツは10分も走らないうちにウインカーを出し印南のSAに入った。
「やっぱり、そうか!」
早貴被告はここで誰かと会うのだと、私は確信した。ベンツから少し遅れてKカメラマンの車が続き、そして私の車も左ウインカーを出してSAに入った。私たちは少し離れた位置でベンツを挟むような形で駐車し、Kカメラマンとは携帯電話で連絡を取っていた。
SAの駐車場は閑散としていて10台ぐらいしか停車していなかったし、ベンツの近くに駐車している車はなかった。
彼女はエンジンを切らずに同じ場所に駐車していたが、そこに近づく車はなかなか現れない。5分、10分……30分経っても何も起こらない。
「誰かと会うために待っているんじゃないのか」
私は携帯でKクンと連絡を取り合っていた。
「ちょっと様子を見てきますわ」