<146>早貴被告が運転するベンツは時速150kmの猛スピードで大阪方面に向かった
Kクンは車を降り、彼女の車の近くを通って売店に向かった。すると携帯電話が振動した。
「彼女、タブレットでゲームをしているみたいですよ」
「ハア?」
待ち合わせの時間までゲームをしているってことなのか? タブレットを肌身離さず持ち歩き、ゲームをしていることは知っていたが、この時はあくまで時間潰しのためだろうと思った。が、何の接触もなく1時間近く駐車した後、彼女は再びベンツを始動させたのである。
SAを出てから小雨が降ってきた高速道路を北上するベンツは、時に時速150キロも出して次々と車両を追い抜いていく。右に左にと車線を変更しながら、まるでテレビゲームのカーチェイスのような運転をしていた。
このまま追跡するのは危険と判断した私は、和歌山ICで諦めることにした。 (つづく)