Netflix版「新聞記者」批判騒動 描かれるディテールこそが報道とは何かを教えてくれる
■「映画の全てが実話か?」
これらは全くの事実なのか? 「インサイダー」でアル・パチーノが演じたローウェル・バーグマンに「映画の全てが実話か?」と問うと、「否、あれは映画だから」と否定した。映画として視聴者にアピールするために一定のフィクションが入るのは社会派と評される映画でも許されるという理解だ。しかし、物語の大筋は事実をもとに作られている。それゆえに描かれるディテールが大学の授業で使われる。例えば、「大統領の陰謀」で捜査関係者に電話で情報の確認をしようとして断られる。記者は、「今から10数える。記事が間違っていれば途中で電話を切ってくれ」と頼む。そして10まで数え終わってから電話は切れる。そして記事が出る。
「インサイダー」では、テレビ局上層部からの圧力で番組が潰される。そこでバーグマンはライバルのニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に内幕情報を提供する。条件は1面トップに出すこと。NYTの記者は「へい、NYTだぞ」と答える。紙面を第三者の希望で決められないという話だ。NYT記者は「かけなおしてくれ」と伝えて編集幹部と相談。かけなおしたバーグマンに、「1面トップで行く。論説も書く」と伝える。その記事が世論を動かし番組を復活させる。