綾瀬はるか「元彼の遺言状」は米倉涼子「ドクターX」をパクってパロって遊びごころ満点
<容姿端麗でスタイル抜群。派手な高級スーツを身にまとい、ヒールをカツカツと鳴らしながら風を切って我が道を突き進む敏腕弁護士。どんな相手に対しても物おじせず、圧倒的な法律知識とハッタリを効かせた話術を武器に、数々の難局からクライアントを救ってきた>
フジテレビ系ドラマ「元彼の遺言状」のホームページで、主人公の剣持麗子(綾瀬はるか)はこう紹介されている。ジャケットはトム・フォード、バッグはルイ・ヴィトン、靴はクリスチャンルブタン、ネックレスや時計はカルティエと、高級ブランドで全身を固め、決めゼリフは「私、おカネにならない仕事はしない主義なんです」。
肉が大好物で、強欲な権力者(大手弁護士事務所の所長)が宿敵、料理が得意なマネジャー兼バディー(大泉洋)がいるが、周囲は敵だらけ。
アレッ、どこかにそっくりなキャラいなかったっけ? そう、テレビ朝日系「ドクターX~外科医・大門未知子~」も高級ブランドを着こなし、権力に媚びず、「私、失敗しないので」が決めゼリフだ。宿敵は病院長の西田敏行、マネジャーは岸部一徳の神原晶、焼き肉が大好き。
剣持麗子は大門未知子に勝てるのか
「パクリというより、『元彼』のスタッフは楽しそうにパロってますよね。ドクターXでは腕は確かだが小心翼々の外科医役の勝村政信が、『元彼』に頼りない刑事で出てきたのには大笑いでした。次はマージャンの場面なんかがあるかもしれませんね。アップを多用して、きれいな綾瀬はるかを楽しんでくださいというのもこのドラマのウリでしょうから、剣持麗子は大門未知子に勝てるか、も見どころです」(テレビ雑誌編集デスク)
「元彼」のもう一つのお遊びが、ストーリーに絡めてアガサ・クリスティの本が駄洒落で使われるシーンだ。大企業の経営者一族の確執を背景にした1、2話では「ねじれた家」、大学教員が家族らを次々に殺す3話は「そして誰もいなくなった」だった。実は、第2話のエンディングで本棚が映り、「ゴルフ場殺人事件」「蒼ざめた馬」「マギンティ夫人は死んだ」などもあって、ほかにもエラリー・クイーン、エド・マクベインらの本が並んでいた。これらが謎解きのヒントになっているのだろう。
ただ、原作の新川帆立の同名小説は「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しているが、ドラマのミステリー度は低い。コメディー仕立てだからだが、今後の展開を予想すると──。
「番組タイトルの『元彼の遺言状』編は犯人がすぐ捕まって2話で完結したように見えますが、元彼の落とし子がいるし、暗号を落書きしていた蔵書が何冊も残っている。これは、遺言状は他にもあるという暗示でしょうかね。そもそも麗子の出自が明らかになっていません。まだまだ新たな謎に期待できます」(放送作家)
視聴率や評判次第ではシリーズ化も狙えそうだ。
(コラムニスト・海原かみな)