上島竜兵さんの天下一品「リアクション芸」を奪ったコロナ禍とコンプラ問題
11日に東京都内の自宅で死去したことが報じられたダチョウ倶楽部の上島竜兵さん。61歳だった。芸能界随一の「愛されキャラ」としても知られる上島さんの突然の訃報は、生前付き合いが深かった芸能人らにも衝撃を与えている。
「よく下北沢の風呂なしアパートに来てくれて、飲んでは『売れてえな』って」
恵俊彰(57)は駆け出しの下積み時代、身近な先輩であった上島竜兵さんと夢を語り合った思い出を振り返り、こう偲んだ。
「ダチョウ倶楽部はすぐに売れていったんですけど、上島さんは売れてからも全く変わらない。あのままの人でした」
上島さんは後年、後輩芸人らとの飲み会「竜兵会」を催し、お笑い仲間と飲み、語り明かすのを常としていた。「飲みニケーション」というやつだ。ある芸能プロ社長は言う。
「竜兵さんが奥さま同伴で、タニマチの病院院長らと飲む席にご一緒したことがあります。志村けんさんがそうであったように、上島さんは飲みの場で人脈をつくり、その枝で地方巡業の仕事をもらったりしていた。テレビのみならず、イベント巡業も収入源でしたでしょうから、コロナ禍でどちらも暇になってしまい、不安を抱えていたのは間違いない」
キス芸、熱湯風呂も今は昔
リーダー肥後克広は「ダチョウの芸は密。離れてやっても面白くない」と語っていたが、アツアツおでんやキス芸だけでなく、ダチョウ人気に火がついた「お笑いウルトラクイズ!!」のような過酷なロケ企画はもちろん、鉄板ネタだった熱湯風呂も今やNG扱いに。
さらに頭を叩いたり、外見をイジるような、バラエティーでお馴染みだった表現もテレビの世界ではネタとして盛り込もうにも、スタッフから「セクハラ、パワハラにも抵触するためコンプライアンス(社会的な規範意識)的にアウト」とストップがかかるのである。上島さんならずとも「聞いてないよォ」と言いたくなるはずだ。
ステージを下りれば普通の人
「いじられキャラの上島さんは、八方ふさがりになっていたと思う。ステージやカメラの前に立つときは、芸人スイッチが入って、テンションが上がるけれど、志村さんと同様、上島さんもステージを下りれば普通の人。むしろ寡黙でシャイなタイプで、いろいろと考えてしまうような人でした」と、ある放送作家も証言する。
上島さんが自ら命を絶ってしまった理由は誰にも分からない。しかし、上島さんのやってきた天下一品の芸風が受け入れられない世の中になっていることは間違いない。笑顔の裏で、生きづらさを感じていたのかも知れない。
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■厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口
▽いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▽こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)