林ゆめ 強い個性と癒やし系の両面を持つ“ラベンダー”のようなミステリアスさが魅力
今年に入って彼女にインタビューする機会があったが、そのときに感じたのは、女優としての可能性の高さだ。彼女と話をしていて、「彼女が持つ女優っぽさ」について考えを巡らせていたときに頭に浮かんできたのは、彼女と同じ北海道出身の女優ではなく、なぜか沖縄出身の主演女優たちだった。
華やかさは若き日の仲間由紀恵に通じるものがあり、まっすぐでポジティブなキャラクターは、デビューしたばかりの黒島結菜に取材で会ったときに感じたものを思い出させた。一歩引いて俯瞰しながらまわりの人に気配りする優しい人柄は新垣結衣に通じる。
彼女が生まれ育った富良野は、倉本聰脚本によるテレビドラマ「北の国から」の舞台として有名で、多くの観光客が訪れる。観光名所の一つである「ファーム富田」のラベンダー畑は、彼女も大好きな場所だと話していたが、林ゆめという人そのものが、ラベンダーのような女性だ。
癒やし効果のある香りとして人気があるラベンダーは、紫色の見た目は個性的で、そういうところも、強い個性と癒やし系の柔らかな魅力の両面を持つ彼女に似ている。ラベンダーはミステリアスな魅力がある花で、大林宣彦監督によって映画化され、2016年には黒島結菜主演でドラマ化された「時をかける少女」では、主人公が理科室でラベンダーの香りをかいだことから時間を自由に超える能力を手に入れた。
林ゆめもまた、そのラベンダーのような存在感で、いろんな時代の女性を演じる「時をかける女優」となり、作品を見る人を引きつける魔法をかけるに違いない。