三遊亭円楽の代わりはいない…「みっともないけど、死ぬまでやる」こそ重要な3つの理由
本人は「みっともないけど、死ぬまでやる」と話していたが、それこそ重要だ。それには3つの理由がある。まず、落語家の一般論として、「噺家は長生きするのも芸のうち」という言葉がある。味わいが出てくるということだが、僕が昔、実際に寄席で目撃したことだが、ある高齢の師匠が高座で話していて、話の途中で演目が別の演目に変わったことがある。共通のキーワードが出たため変わったのだろうが、そこにいた落語ファンが皆、「演じものが変わっちまったよ」と大笑いになっていた。
2つ目の理由は、円楽の師匠、故・5代目三遊亭円楽さんのそのまた師匠で、名人とうたわれた6代目三遊亭円生の名跡が長く中ぶらりんのままで、円楽がその名をつないで、次世代に渡さなくてはならないことだ。19年に出版された著書で円生襲名に意欲を見せたことがあった。
3つ目が、これまで続けてきた落語プロデューサーの仕事だ。「博多・天神落語まつり」は、この11月にも円楽プロデュースで16回目を迎える。落語会にはプロデューサーと呼ばれる人がいないが、円楽ひとりがそういう存在だ。これも続けてもらいたい。
落語に関しては厳しく、人前では毒舌を吐きまくりだが、若い頃の僕に一生懸命に話し方のコツを教えてくれた、心優しき人でもある。
とにかく、長く続けていってほしいのだ。