五輪も仕切る電通は今や「国家なり」 長くタブー視してきたメディアが“政商”に変えた
東京に五輪を持ってくるためにIOC委員たちに札束をばらまき、組織委員会ができると、高橋や森喜朗をはじめ政治家や電通が五輪利権を食い漁っていた「腐敗の構図」が見えてくる。
参院選が終わってから高橋を逮捕するなど、東京地検の弱腰が気になるが、徹底的に捜査すれば、森や自民党議員だけではなく、安倍元首相の名も浮上してくるかもしれない。もちろん、東京五輪を実質的に取り仕切っていた“政商”電通も無傷ではいられないはずである。
私が講談社に入ったのは1970年。当時マスコミには菊(天皇)と鶴(創価学会)と電通タブーがあるといわれていた。月刊誌のプラン会議で私は何度も「電通のタブーを斬る」的な企画を出したが、編集長は一顧だにしなかった。広告担当の連中は、自ら広告取りに歩かず、電通の人間と飲んで「広告をお願いします」と揉み手をするのが仕事だった。新聞やテレビも同様だったのだろう。
記憶をたどってみても、新聞、テレビにはできないタブーを追及するのが役割だと公言している週刊誌だが、電通社員のセクハラや麻薬所持などの不祥事についての報道は山ほどあったが、電通の危険な体質に真っ向から切り込んだ特集は思い浮かばない。