「レジェンド&バタフライ」の女性カメラマン芦澤明子が見た 映画界と木村拓哉・綾瀬はるか

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映画界は少しずつ変わってきている

 そのように女性に対する労働環境が整備されている現場もある。だが、昨年の春に是枝裕和をはじめ6人の映画監督が、映画界のハラスメントと労働環境を改善するために、映連へ意見書を提出したことからもわかるように、業界はいまだに問題を抱えている。

「でも少しずつですが、変わってきていることは実感します。『レジェンド&バタフライ』の撮影中にも、スタッフを対象にした『リスペクト講座』が何度か開かれました。講師の方が来て、人間関係を円滑にするための話とか、トラブルが起こった時にどう対処すればいいかといった話をするんです。私はひねくれ者ですから、最初は『何、きれいごと言ってるの』と思いましたが、何度か講座を受けているとね、ちょっとトラブルが起きそうになった時に、ふっと講座で言われたことが頭をよぎって、相手のことを考えるようになりました。だからハラスメントとか暴力といった問題は、長足に何か良くなるわけではないですが、そういうことを続けることで徐々にみんなの意識が変わっていくんだと思います」

 最後に現在71歳の芦澤明子が女性カメラマンとして、常に第一線で活躍し続けてこられた秘訣を聞いた。

「この仕事を継続してこられたのは、私が不器用だからでしょうね。器用な人だと、特に女性は『これ、やっといて』と気軽に頼まれて、要は器用貧乏に使われてしまう。そうではなく、私はこれ以外できませんという姿勢を貫いて、できることを自分なりに研鑽する。そういう態度を貫ける人が、仕事を持続できるんじゃないかと思うんですよ」

 自分の仕事は何かを見極めて、その道を貫く。そんな姿勢が今の彼女をつくってきたのだ。

(取材・文=金澤誠)

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