朝倉あきは人に寄り添い、演技を通じて彼女らしい音色を奏でる
雑誌「週刊プレイボーイ」(集英社)2010年1月18・25日合併号の折り込み付録「次世代美少女2010」では前田敦子や川口春奈らが紹介されていたが、そこで「高倉文紀が選ぶ次世代の注目株ベスト10」を聞かれ、1位に挙げたのが朝倉あきだった。
同じ頃に取材して、読むものが何もないと楽屋に置いてある取扱説明書を読んでしまうほどの読書家だと聞いて、誕生日に彼女が好きそうな文庫本を数冊ずつ選んでプレゼントしていた時期がある。その中で、のちに松本穂香らの出演で、ドラマ・映画化される高田郁の小説「みをつくし料理帖」を気に入ってくれた。数年前に取材したときには、10代の頃から読んでいた小野不由美のファンタジー小説「十二国記」シリーズを読み返していると語っていた。選書のセンスから、彼女の嗜好と人柄がわかる。
2年前のインタビューで「自分を楽器にたとえると?」と質問すると、彼女は「ユーフォニアムです」と答えた。吹奏楽部員を演じた朝ドラ「てっぱん」で担当した金管楽器だが、当時、楽器指導の先生に「人間の声に一番近い」と教えられたのが心に残って、「人の心に寄り添えるようになりたいなという理想も含めて、ユーフォニアムなのかなって」(タレントパワーランキングWeb・2021年6月30日配信)。
30代になった朝倉あきは、これまでの出演作で積み重ねてきたもの、出会ってきた人々、大好きな本の世界から得たものが混ざり合って、人に寄り添えて役に寄り添うことができる女優として、演技を通じて彼女らしい音色を聞かせてくれるに違いない。