「掛け声指南」主人公をタイ人にしたのは、日本で働く外国人を愛情持って描けないかと思ったから
「番組で久米さんにお世話になったご縁で、所属事務所のオフィス・トゥー・ワンに入れていただきました。番組でリポートしたことをふくらませて、スケッチネタの落語にしたこともあり、僕にとってはありがたい仕事でした」
番組が終了する2020年までリポーターを務めた。その間、新作落語を創り続ける。多くの傑作を残しているが、私のイチオシは、「掛け声指南」。
「主人公をタイ人のムアンチャイにしたのは、日本で一生懸命働いている外国人を愛情持って描けないか、と思ったからです。元ボクシング選手で、現在はボクシングジムでセコンドの見習いをしている若者という設定にしました」
ムアンチャイが歌舞伎町の商店街や飲食街をさまよい歩くうち、リングで戦う選手に掛けるアドバイスの言葉を覚えるのだ。
「古典落語のまくらで、『落語に出てまいりますのが、八っつぁんに熊さん、横丁のご隠居さん、バカで与太郎、人のいいのが甚兵衛さん』というフレーズがあります。その後に『一生懸命なのがムアンチャイ』と続けると、よく受けます(笑)」