【新春異色対談】松尾潔×今井絵理子 SPEED時代から25年ぶりに再会! 縦横無尽に語り合った
「私、歌と政治は似てると思うんです」(今井)
■「フェア(公正)かアンフェア(不正)か」(松尾潔)
松尾「政治の世界だけじゃなくて、国でも学校でも芸能界でも事情は同じと思うんだ。国によって法律は違うし、学校だと校則が違うし、芸能界だと事務所によってルールがあって、それに従ってみんな行動するわけじゃない。でも、その国、学校、芸能事務所では正しくても、よそへいけば正しくないことって実際たくさんあるから、ジャッジはほんと難しい。だからライト(正しい)かロング(正しくない)かよりも、フェア(公正)かアンフェア(不正)かで考えたほうがまだ精度が高いと経験的に感じてる。で、アンフェアなことはやっちゃダメ。それが結果として高確率でライトに着地するのでは。その見極めは大事だよね」
今井「そうですね。常に自分の軸の中で見極められるようにと努力しています。私の事務所では、一回一回確認してやっていこう、という意識を秘書みんなで共有しています。ルールをしっかり守り、丁寧に対応していこうと。時代は令和になり、これまでの政治のやり方、在り方が問われていると感じています。秘書もチームの一員ですから、仮に秘書がミスしたとしても、事務所を率いている私に責任がありますから」
松尾「監督責任の実行ってことかな」
今井「私は子どもたちに夢を与えられるような世の中にしていきたいと思っているんです。子どもが大人になって有権者になったとき、『なんだ、政治なんて汚いだけだ』と思われないように」
松尾「頼もしいな。ほんとだよね」
今井「私、歌と政治は似ていると思うんです。歌は歌詞とメロディーが根幹にあって、政治は言葉と政策がある。たとえば、失恋の歌でも最後は『明日に向かってがんばろう』と歌うように、政治家として発する言葉も政策も、どんな困難があっても、最後には希望をちゃんと届けていきたいんです」
松尾「いいこと言うねえ。エリちゃん、大人になったなあ……。そこは僕も同感。ポップミュージックは大衆や弱者の憩いであるべきだし、そこに道筋をつけるのが政治だと思うから。救いのないほど悲しい失恋ソングでも、とことん落ち込むことで、気持ちをリセットできるのが歌の力。政治も弱者に寄り添い、希望に導くものであってほしい」
今井「音楽をやっていた私だからこその思いかもしれないですけど、忘れずにやっていきたいですね」
松尾「これからもずっと政治家を続けようと思ってるの?」
今井「任期は全うしたいですが、未来はわかりません。でも後悔する道だけは歩みたくないと思っています」
松尾「伊秩(弘将)さん(SPEEDの楽曲のプロデューサー)の書く歌詞みたいだね(笑)」
今井「エリを正してやっていきます(笑)」
(2024年1月9日につづく)※取材協力=新宿「風花」
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▽今井絵理子(いまい・えりこ) 1983年、沖縄県出身。96年にSPEEDのメンバーとしてデビュー。2000年に解散後はソロ活動開始。04年に長男を出産。08年に息子の聴覚障害を24時間テレビで公表。16年、第24回参議院選挙に自民党公認で全国比例区から立候補し初当選。現在2期目。
▽松尾潔(まつお・きよし) 1968年、福岡県出身。早大卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。本紙でコラム「松尾潔のメロウな木曜日」(木曜掲載)を連載中。新著「おれの歌を止めるな」(講談社)が1月11日に発売。