阿部サダヲ「不適切にもほどがある!」が女子高生とオジサンに大ウケしてるワケ
恋愛ものが目立つこの冬のドラマの中で、「不適切にもほどがある!」(TBS系)は異色だ。昭和のオヤジ・小川市郎(阿部サダヲ)が38年後の令和6年(2024年)にタイムスリップして、そこで引き起こす勘違いと行き違いのドタバタ。まあ、ありがちなコメディーなのだけれど、そこは宮藤官九郎(脚本)、笑わせるだけでなく、2つの時代を鋭く批評したり、日本はずいぶん変わったねえと感慨に浸らせたり、今のままでわれわれは大丈夫かとメッセージを送ったりと、次々と変化球を繰り出す。
痛快なのは、コンプライアンスなんて聞いたこともない市郎の不適切ワード乱発だ。「ブスのくせに」「女の腐ったような」「男顔負け!」と平気でののしり、ところかまわずたばこをプカプカ。
これがネタふりになっていて、「この作品には、不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが」「1986年(昭和61年)当時の表現をあえて使用して放送します」というテロップ画面を本編に挟むオチが用意されている。
「AIに振り回され、やれ働き方改革だ、ジェンダーレスだ、ハラスメントだと、実態は変わっていないのに、言葉だけが先行してかえって窮屈になってしまった令和。欲望とホンネ丸出しだった奔放な昭和……。それぞれを描くことで、それぞれの世代をつかんでいるのはさすがクドカンですよね」(テレビ情報誌編集デスク)