松尾潔(前編)この国を覆う「忖度」の空気をつくる、多くの言葉たち
日刊ゲンダイで「松尾潔のメロウな木曜日」を連載中の音楽プロデューサー松尾潔氏が、連載をまとめた新刊「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」(講談社)を上梓、話題を集めている。そこで、著者である松尾氏に刊行に寄せる思い、連載に至った経緯などなど、話を聞いてみた。
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──新刊「おれの歌を止めるな」が刊行から1カ月以上が経ちました。
松尾 多くの方に読んでいただけているようでありがたいです。中には「1冊まるまるジャニーズの話が書いてある」と勘違いしている人もいるんだけど、それは違います。中心に据えた日刊ゲンダイの連載には、映画評や書評などの肩の凝らないコラムも多いですからね。一方、ラジオでの発言を書き起こした章や新たに書き下ろした章では、性加害問題に向き合いました。
──「おれの歌を止めるな」というタイトルのインパクトが何より大きいように思いますが、タイトル案は30個以上あったとか?
松尾 「沈黙の大国」とかありましたけど、「音楽プロデューサーが書いた本だって伝わらない」って突っ込まれてボツ(笑)。