濱田岳「わろてんか」最終収録のリハーサル後に涙の訴え…仕事への熱意と凄みを見せつけられた
濱田さんと初めてお会いしたのは、NHK連続テレビ小説「わろてんか」の漫才指導の時でした。子役時代からキャラクターの違う役を見事に演じ分けていらっしゃったので、間近で濱田さんを見られるのが楽しみでした。
濱田さんと直接関わることはありませんでしたが、収録の合間に「お疲れさまです。漫才って難しいですね! 何本ぐらい(漫才を)お書きになってるんですか?」と気さくに声をかけてくださり、笑顔を絶やさず、ファミリーとして温かく迎えていただきました。
そんな濱田さんも本番収録前になると顔つきが変わり、役柄に入り込んでいるのが周りから見ていてもわかるほど、集中していらしたのが印象的でした。収録も監督からOKが出ても納得のいくまでテイクを重ねておられました。
その熱意を見せつけられたのが、最後の収録でした。舞台だけが残った戦後の焼け野原で、青空の下、喜劇を演じるというシーンで、私が脚本・演出を担当したのですが、入念なリハーサルが終わり、楽屋ロビーのソファに座っていると、ほんの数メートル先を濱田さんが意を決したような表情で通り、チーフプロデューサーに「すいません。ちょっとよろしいでしょうか?」と頭を下げられました。