“多様性”ツギハギだらけNHK紅白歌合戦の限界と今後…盛り上がったのは特別枠のみ、2部視聴率はワースト2位
■「番組を成立させることに縛られすぎ」
たしかに今回の紅白は、「あなたへの歌」のテーマの通り、あらゆる世代に向けた歌がごった煮になっていた印象だ。メディア文化評論家の碓井広義氏はこう続ける。
「たしかにK-POPから演歌、懐かしの楽曲までバラエティーに富んでいて、“多様性”の紅白になっていましたが、とにかく番組を成立させることに縛られすぎていて、単に対症療法的に、“あれもこれも並べてみました”という印象ばかりが残りました。この番組はどういう番組なのかという大本の思想や哲学が揺らいでいます。もはや現実的には歌合戦ではなくなっているので、再考すべき時期に来ていると思います」
確かにそれは最後にとってつけたようになされる紅白の勝ち負けの審査にも現れていた。前出の桧山氏の話。
「盛り上がったB'zも、かつてのように演歌を歌いあげ“2代目サブちゃん”への決意を感じさせた氷川きよしも、玉置浩二も、特に説明もないので、なんとなく白組のように感じてしまいますが、実はみんな『特別枠』なんですよね。それに引きずられて“白が勝った”のではないかと。さらに、ドミノとかけん玉とか、勝手に恒例になっていて、歌が入ってこない演出がある一方で、藤井風や椎名林檎とか、明らかに特別扱いされている歌手もいて、そのあたりもなんだかなあという感じです。また司会が歌ったり踊ったりするのもどうなのかと」