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賃貸から家を建てることを決断した故・西田敏行のアドバイス

 昨年亡くなった西田敏行さんはマチャアキ(堺正章)と一緒に私の誕生日にゴルフコンペをやってくれたりしてかわいがってくれました。西田さんには家のことで教えられましたね。

 私が初めて家を建てたのは40歳の時です。それまではずっと賃貸に住んでいました。西田さんの自宅に伺ったら、「ピーちゃんはどうして賃貸に住んでるの?」と聞かれました。そして「借金してもいいから買っちゃった方がいいよ」と言われた。

 西田さんは奥さんと新聞のチラシを持って物件を見に行き、「ここを買おうよ」とその場で決めたそうです。「とりあえず買っちゃって、ローンが払えなくなったり、嫌になったら売ればいいんだから。そんなに深く考えなくてもいいんじゃないかな」と西田さん。私はそれまで借金をしたことがなかったし、家を建てるのは大変なことだと思っていたから、西田さんの言葉を聞いてスーッと気が楽になりました。

 それで建てたのが最初の熱海の家です。土地は130坪、まだバブルが残っていた時期だから坪30万円、スウェーデンハウスの上物は坪単価が高く6500万円くらい。合わせて1億円ちょっとでした。今なら土地は坪3万円くらいだと思いますけどね。

 家を建てた時には父親(人間国宝、上方舞吉村流家元の吉村雄輝)に保証人になってもらいました。「おまえもそんな気になってくれたんか」と喜んで、母親には「しんちゃん」と抱きつかれました。それまでは家を建てるなんて大したことじゃないと思っていたけど、親にとって子供が家を持つのは「一人前になったな」という思いなんでしょうね。こんなに喜んでくれるんだと気がつきました。

 その家は山のテッペンの眺めのいい場所にありました。そして次に移った葉山の家は、すぐ目の前に海が見える、螺旋階段をつけたすてきな家でした。でも、足を2回骨折したのをきっかけに売ることにしました。螺旋階段は上るのが大変ですからね(笑)。そして別の場所に、やはり海が見える今の家を建てました。湘南の海が見えるマンションの賃貸でもいいかなとも思ったんですけど。

 父母が小学生の時に離婚、祖父の出身地の鹿児島で母親と暮らしていた時は錦江湾が目の前という場所に住みました。原風景が海だから、今も海が見えるところが好きですね。

 夢はザバッと波が打ち寄せる砂浜に平屋の家を建てて毎日、犬をつれて散歩すること。犬と話をしてたらボケないでしょうから。津波が来たら危ないとか、犬を飼ったらどこにも出かけられなくなると友達には言われるけど、犬を車に乗せて一緒にドライブもしたいですからね。

 ゆくゆくは外国に住むことを考えたりもしています。例えば、パリとかハワイ。パリといっても郊外、ワイキキも車で30分くらい走ったところの安い家です。ワイキキのど真ん中は日本なら銀座に住むのと同じ。そんなところに住もうと思うからバカ高いわけで。でも、郊外なら住めます。私は結局、根なし草だから、家に対してもあまり執着がない。一生、ボヘミアンだろうなと思っています(笑)。

■夫婦でも1日2時間、秘密の時間を持つ

 1人でいるのが寂しいという人がいるけど、私は逆です。1人がいいです。1人でいられて、何か考えたり、好きな物を食べて暮らす。こんな優雅で贅沢なことはないです。小さい頃から家族が揃ってごはんを食べることはない家で育ちました。ずっと一人っ子みたいなものです。ごはんはおばあちゃんが作ってくれて、勉強も遊ぶのも1人。16歳で家出してからずっと一人暮らしです。だけど、寂しいと思ったことは一度もないし、不便を感じたこともない。

 1人か、そうじゃないなら大勢がいい。2人が一番苦手です。だから結婚できないのかもしれないけど(笑)。

 2人が一番面倒くさいと思います。気を使うタイプだから、一緒にいると息苦しくなる。何を食べたいとか考えていたら疲れちゃう。だから、夫婦でも会った時に「こんにちは」というぐらいの距離感がいいかもしれません。部屋も別々にして。もちろん仲のいい夫婦もいるけど、1日2時間は秘密の時間を持つ。図書館に行こうが映画館に行こうが散歩に行こうが、相手に何をやっていたかを言わない秘密の2時間。これからはパートナーに何も言う必要がない2時間を持つ関係がいいんじゃないかな。

 私は病気したことがほとんどありません。1年に2回は人間ドックを受けています。大腸の検査なんか3、4年に1回でいいって言われるのに何十年もやっている。やっぱり怖いから。ドックで言われるのはコレステロールの数値が高いことくらい。基本的にお酒は飲まないので肝臓も大丈夫。お酒を飲む場にいる時は、飲んでいない私が運転して友人らを送って行きます。もう何十年も。

 還暦を過ぎたあたりから「死ぬまでにやりたいこと100」をノートに書いています。別に大したことを書いているわけじゃありません。壁紙を替えたい、ダブルベッドは大きすぎるからセミダブルにしたいとか、思いついたことを書く。そうしないと忘れちゃうから。物事を記憶しておこうというのは自分を買いかぶり過ぎ。年をとるとすぐ忘れる。

 今は便利なスマホがあるので、ごはんの写真は必ず撮ります。昨日、何を食べたかなんて覚えておく必要がないと思っていると、思い出そうとしても、思い出せないものです。SNSとか何かに出すとかではなく、日記として、記録としてやっています。

 自分の人生なので、死ぬ時は楽しかったと思いながら死にたいと思っています。

(聞き手=峯田淳)

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