「もしもピアノが弾けたなら」作曲家・坂田晃一さんが明かす西田敏行さんの知られざる逸話
「おしん」「春日局」など人気作の音楽を多く手がける
それにしても、リビングで作曲や演奏をして、夫人に「別部屋で」と促されないのだろうか。
「妻は4年前に急死してしまったので、1人暮らしです。1年ほど前、2人で暮らした家を片付け、こちらへ転居してきました。僕はきょうだいも子どももいない。天涯孤独なんですよ」
夫人は18歳年下の元作曲家。3回目の結婚だったという。
「バツ2なので、さすがに3回目はきちんと添い遂げたいとの思いどおり、結婚生活が30年を過ぎた矢先に見舞われた不運でした」
さて、東京・代々木生まれの坂田さんは、6歳でピアノ、高校でチェロを始め、東京芸大音楽学部器楽科へ進学。3年生のとき、売れっ子作曲家・山本直純氏に弟子入りし、65年に作曲家デビューした。
アニメ「母をたずねて三千里」(フジテレビ系)、ドラマ「3丁目4番地」(日本テレビ系)の主題歌「さよならをするために」、「池中玄太80キロ」(同)の主題歌「もしもピアノが弾けたなら」、「おしん」「春日局」など人気作の音楽を多く手がけ、2011年にはスタジオジブリ映画「コクリコ坂から」の主題歌に、76年の「さよならの夏」が採用され話題に。
「元々、森山良子さんが歌ったもので、宮崎駿監督は台本を書きながら、ずっと聴いてくれていたそうです」
「僕の曲の中で一番稼いでくれた曲? 『もしも──』と、ビリー・バンバンの『さよならをするために』。それから『おしん』。『おしん』は何度も再放送され、ビデオのVHS版、ベータ版、DVD……と何度もパッケージ化されましたので。ありがたいですね。ヒットドラマに恵まれ、僕は本当に幸運でした」
(取材・文=中野裕子)