温泉場のストリップの帰り道「しみじみしちゃうよなぁ」
清志郎のロックにかける情熱は、どこか求道者のようなストイックさがある。聴衆や権力にこびることなく、オリジナルの音楽を終生、追求し続けた。その隠し味とも言うべき、清志郎のセンスはどこにあるのか。
「それは、何か少し『外す』ことだと私は思うのです。例えば、清志郎さんのメークはアイシャドーがはみ出たりして、外見をキレイにするためのものではないし、音楽についても『完璧過ぎるのはおもしろくない』と。後年は『汗で落ちていくメークも、またいいもんだよ』とも言ってました。それに、存在そのものが、そこはかとなくキュートだとも思います。そもそも、清志郎さんがド派手なメークと衣装で楽屋でコーヒー飲んでたり、廊下で鉢合わせしたりすると、こちらはかなりびっくりするわけで、そこでは現実とワンダーランドを共存させながら、そのどちらからも外している。耽美的なビジュアルバンドとは違う。そこにまた平然としたたたずまいでいる清志郎さんは、道化一歩手前のトリックスターのようにも思えます」
片岡さんは、清志郎と行ったストリップ劇場でのエピソードを懐かしむように語り出す。