大塚署での取り調べは「太陽にほえろ!」談義で盛り上がる
皮切りは、当時まだたけし軍団の一員であった大森うたえもんだった。
「『太陽にほえろ!』のドラマだとマカロニ(萩原健一)やジーパン(松田優作)、スニーカー(山下真司)とか、それぞれニックネームがありますよね? 刑事さんたちは、そういうのあるんですか」
「えっ、いや、別にそういうニックネームってのは……」
「ダメですよ、これから取調室で1対1で向かい合うんですから、そういうの絶対にあった方がいいですよ、ね、みんな?(うなずく一同)。フレンドリーな方がペラペラしゃべりますよ」
そんな不思議な持論を繰り広げ、「『革靴』でどーかな? そこの刑事さん」と言うと、グレート義太夫が若手の刑事さんが履いていた黒いピカピカの革靴を指していたのだった。「いや、スニーカーのパクリみたいでカッコ悪いよ、髪形から『七、三』(七、三分けでした)は……」と松尾伴内。そうなると、もうハチの巣をつついたように「色白は?」「ポッチャリ刑事がよくない!?」とニックネーム論争が始まり、取り調べどころではなくなっていったのだった。
(つづく)