紀州のドン・ファン邸には今でも観光客の姿が…逮捕から半年以上経過も、裁判日程決まらず
2018年5月、和歌山県田辺市の資産家「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助さん(当時77)が急性覚醒剤中毒で怪死。それから約3年後の21年4月、事態は急転した。元妻の須藤早貴被告(25)が殺人と覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、翌5月、起訴されたのだ。
「早貴のスマホを解析した結果、『覚醒剤』『致死量』といった検索履歴が見つかり、県警はGPS機能から覚醒剤の密売人と接触していたことを突き止めた。野崎さんが覚醒剤を摂取した時間帯、自宅で2人きりだったことも判明。和歌山カレー事件同様、状況証拠を積み重ねることで立証可能と判断した」(捜査事情通)
近隣住民が事件を振り返る。
「半年以上、マスコミややじ馬が押し寄せ、朝になって自宅の敷地内で勝手に寝てる人もおった。あの子は挨拶もせえへんし、『ご迷惑をお掛けしました』の一言もあらへんかった。えらい根性あると思ったわ。逮捕当日は大勢の捜査員に連れて来られ、大騒ぎやった。チラッと顔見たらまるで別人やったから、手術を失敗したんちゃうか。捜査員は引き続き、コロナ禍でも弁当の出前を取りながら家宅捜索を続けとったわ。家は野崎さんの遺言(民事裁判中)により、市の所有になったみたいで、きちんと手入れされてるわ」
自白調書なく、密室の事件で物証や目撃証言もなし
早貴は逮捕されるまで都内のマンションを転々としながらホスト通いをしていたが、次第に金が尽き、パパ活で食いつないでいた。突然の逮捕劇は、捜査の手が伸びていることに気付いた早貴がドバイへの高飛びを画策していたからともいわれている。
殺人罪に問われるため、裁判員裁判で審理されるが、逮捕から半年以上経過したのに初公判の日程も決まっていない。否認を続けているため、自白調書はなく、密室の事件で物証や目撃証言もない。起訴状には「何らかの方法で覚醒剤を摂取させた」と記され、消去法で早貴しか犯行に及べない証拠を開示し、裁判員が納得できる動機を明らかにするしかない。
ようやく静けさを取り戻した今も「ドン・ファン邸」の写真を撮りにくる観光客が後を絶たない。