正しくグチって憂さを晴らす
「グチる」というと、とりわけ男性は「女々しい」とか「みっともない」といったイメージを抱き、敬遠しがちです。でも、信頼できる人や自分を大切に思ってくれる人に「心の憂さ」を聞いてもらうことは、カウンセリングに通じるケア効果があります。
ただし、賢く上手にグチることが大切になります。まず、怒りの対象とはできるだけ無関係な相手に話すのがベストです。よく同じ会社の同僚にグチる人がいますが、これは危険です。産業医としてよく遭遇するのが、本人は上司や会社の体制について軽くグチったつもりでも、回りまわって人事部や経営者の耳に入り、“造反分子”として認定されてしまうケースです。そうなると非常に厄介なので、できるだけ怒りの対象とは別世界に所属している人を選びましょう。
そして、必ず相手の都合を事前に確かめます。「ちょっと30分ほど話を聞いてもらっていい?」などと時間のリミットも決めておくのがいいでしょう。ネガティブな話は聞く側も負担になるので、長くても30分程度で収めましょう。
また、グチっている中で相手が何か助言をくれるかもしれません。その助言がピント外れでも、「ありがとう。参考にするよ」と受け取ってください。間違っても「それは無理」などと反論しないこと。相手はプロのカウンセラーではないので助言は期待せず、「共感して聞いてもらうこと」を目的としてください。