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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

治療の仕事の両立<3> 治療法に迷ったら放射線医に聞く

公開日: 更新日:

病院の2割で自殺

 がんの治療成績は、5年生存率で判断するのが一般的です。再発や転移がなく5年がたつと、便宜上、“治った”と判断します。今やがん全体で7割、早期がんは9割以上が“治る”のです。

 ところが、がんと診断されてから1年以内の自殺率はそうでない人に比べて20倍。がんの治療成績がよくなっても、「がん=死」というイメージが強く根づいていることがうかがえます。

 そんな状況を改めて裏づけるデータが公表されました。日本医療機能評価機構の調査で、一般病院のうち約2割で入院患者が自殺していたことが判明。病気別では、自殺患者のほぼ半数が、がん患者だったのです。

 調査は2015年、会員病院1376施設を対象に郵送で行われ、約4割の529病院が回答。14年度までの3年間のデータをまとめたもの。内訳は、精神科病床がない一般病院が432、精神科病床がある一般病院が63、精神科病院が34でした。

 精神科病院の自殺率は8割に上りましたが、一般病院でも、特にがん患者の自殺は無視できないことが明らかになったのです。自殺の直前には、痛みや呼吸困難が増したり、精神状態が乱れたりしていて、症状の悪化に伴う精神状態の乱れが見られたといいます。

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