著者のコラム一覧
吉田潮ライター、イラストレーター

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

<19>施設嫌がる父への罪滅ぼしは「快」の感情を増やすこと

公開日: 更新日:

 介護のプロ、ケアマネジャーの説得で、あっけなく在宅介護を諦めた母。その日の夜、叔母(母の妹)に電話をしている様子を見ていて、私は戦慄を覚えた。 

「今はまともなお父さんが3割で、今後もっと減るって、ケアマネさんが話してくれてね」

 ああ、母よ、それは私が言ったんだけどな。父の介護問題は、母の老化を確認できるバロメーターでもあると気が付いた。

 実はもう一つ極め付きの秘策がある。私も母も日記をつけている。この連載原稿を書くに当たり、「介護の苦労を書いた部分を読み返して、正確な日付を教えてほしい」と伝えた。

 母は自分の日記を読み返し、「(父に)鼻クソや目やにをわざとつけられて殺意を抱いた」「来る日も来る日も尿臭、絶望」などの記述を反すう。最終的には「在宅介護はもう無理ね」と母に言わせたのだ。もうね、そんな自分を褒めてあげたい。

 私の中の罪悪感もゼロではない。実はレオナルド・ディカプリオの映画「シャッターアイランド」を見てつらくなった。離島の精神科病院に捜査で訪れた刑事が、実は自身が精神病だったという話だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭