著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

ミネラル豊富で低カロリーだが…海藻が健康に良いは本当か

公開日: 更新日:

 ワカメやコンブなどの海藻類には、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれており、また低カロリーな食材であることから、健康に良いイメージがあります。しかし、海藻類の摂取が健康にどのような影響を与えるのかについては、あまり知られていませんでした。そんな中、海藻類の摂取と心臓病脳卒中との関連を検討した研究論文が、米国臨床栄養学会誌の電子版に2019年9月13日付で掲載されています。

 この研究では、日本に在住している40~69歳の男性4万707人、および女性4万5406人が対象となっています。研究参加者は、海藻類の摂取量に応じて、「ほとんど摂取なし」「週に1~2回」「週に3~4回」「ほぼ毎日」の4つのグループに分けられ、心臓病や脳卒中の発症リスクとの関連性が比較されました。

 年齢、身体活動量、喫煙・飲酒状況などの因子について、統計的に補正して解析した結果、男性における心臓病の発症は、海藻類をほとんど摂取しない人と比較して、週に1~2回の人で9%低い傾向、週に3~4回の人で12%統計学的にも有意に低く、ほぼ毎日摂取する人で12%低い傾向にありました。女性では海藻類の摂取量が多い人でリスクの低下傾向を認めましたが、統計学的に有意な差はありませんでした。また、海藻の摂取と脳卒中の関連性については、男女ともに明確な関連性を認めませんでした。

 健康に良いイメージのある海藻類ですが、その効果は思いのほか小さいようです。ただ、男性では心臓病の発症リスクの低下傾向が示されています。

 食事が偏りがちだなと感じている方は、週に3回ほど海藻類を食べてみると良いかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…