クルマの運転やめた高齢者は要介護認定のリスクが高まる?
高齢運転者による自動車事故に関心が集まる中で、運転免許証の返納を促す機運が高まりつつあります。他方で、自動車運転をやめることによって生じ得る健康問題については、ほとんど知られていませんでした。
65歳以上の日本人を対象に、運転をやめた高齢者の健康状態を検討した研究論文が、2019年6月22日付で日本疫学会誌に掲載されています。
この研究では、現在も自動車運転をしている高齢者2704人(平均70・3歳)と、運転をやめた高齢者140人(平均73・6歳、このうち77人は公共交通機関や自転車も利用していなかった)を比較して、介護保険法における要介護認定を受けるリスクが検討されています。なお、結果に影響を与え得る、年齢、性別、教育水準、外出の頻度などの因子で、統計的に補正して解析されました。
その結果、要介護認定を受けたのは、年間1000人当たり、現在も運転している高齢運転者で38人、公共交通機関もしくは自転車を使用している元運転者で82人、公共交通機関も自転車も利用していない元運転者で119人でした。要介護認定を受けるリスクは、高齢運転者と比較して、公共交通機関もしくは自転車を利用している元運転者で1・7倍、公共交通機関も自転車も利用していない元運転者では2・2倍、統計学的にも有意に増加するという結果です。