ストレスが限界! 高級ブティックのドアマンの仕事は「ナチの拷問」だった

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 ストレスも大きい。周囲にいる女性スタッフは世間話や打ち合わせをしているのに、私はたったひとりで黙っている。彼女たちと私の間には深い亀裂が横たわっている。

■自分とは何なのか…

 客が入ると「いらっしゃいませ」と声を発することができる。その一言を口にしたい。しゃべってストレスを発散したい。店の前で人が立ち止まり、店内をうかがうたびに「入れ、入れ」と心の中で呼びかけている。この仕事をすると、自分とは何なのかを自問することになる。

 あるとき外国人の客に「メンズはどこ?」と質問され、簡単な英語を返した。そのとき思った。どうせ退屈なのだから、この際、英会話の基本センテンスを覚えて反すうしてはどうかと。

 警備会社の規定でマスク着用が義務付けられている。マスクの中でボソボソしゃべるのは問題ないだろう。

 そこでユーチューブにアップされている英会話を覚え、小声でしゃべる練習をした。もちろん、そんなものではストレスをすべて解消できない。あまりのストレスに、昔の思い出が脳裏にちらつき、独り言を漏らすこともしばしば。

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