(47)今、存在しない家電はクラファンで「応援購入」すると、かなり割り引かれる
家電のマーケティングは多くの場合、自社の製品を購入してくれたユーザーの不満点をつぶす手法を取ります。メーカーの数も多いため、市場シェアを失わない方法を取るわけです。メーカーの新製品に新味がないのはこれが原因です。
家電だけでなく、モノは不具合を感じた人が知恵を駆使してそれを解決する形で、歩みを進めてきました。「必要」は発明の母。一番重要なのは「必要」であり、「不満」ではありません。
ただ、「不満」もうまく育てると「必要」に育ちます。特徴ある新製品は、そんな時に生まれます。ですが、この「必要」は当事者以外にはなかなか理解されません。
ダイソンが掃除機のサイクロンシステムを生み出した時、さまざまなメーカーに「使いませんか」と声をかけましたが、答えは「ノー」。結局、ダイソンは、自分で会社をつくり、サイクロンシステムを搭載した掃除機を生産・販売して一世を風靡しました。ダイソンの「必要」はユーザーにとっても「必要」だったわけです。
このように「不満」と「必要」は見分けにくい。メーカーの若手にアイデア出しをさせると、「不満」がたくさん出ます。中には「必要」もありますが、メーカーの都合もあり、全部採用はできません。だからといって若手が会社を飛び出して、「必要」を世に出すのは極めて難しい。営業が一緒にいないと売り先までたどり着けないからです。