高山市図書館 煥章館(岐阜県高山市)飛騨高山の「昔と人」「人と人」とを繋ぐ情報発信館
明治時代を彷彿させる異国情緒あふれる洋館。美しい外観に目を奪われる来訪者も多く、岐阜県高山市の観光名所にもなっている。建築は2004年。平成の大合併で高山市が近隣の9町村と合併した前年だ。
「かつては同じ場所に高山市役所がありましたが、移転となり、跡地に図書館を建てることになりました。外観は明治時代に同じ場所にあった煥章学校(飛騨地方初の近代学校)がモデル。図書館も近代化が進んでいますが、この地域は観光エリアで古い街並みが残っている。そこで街並みに合った建築を……となった経緯があります。緑を使った色合いは擬洋風建築(明治時代に流行した、日本の大工が造った西洋風建築)を意識したものです」(西田純一館長)
正面玄関から入り、左手に絵本などが充実した「木のくに こども図書館」があり、その奥の交流スペースは飲食が可能だ。図書館の入り口にはフードトラックが来ており、そこで弁当などを買って中で食べることもできる。
「本来は敷地内で営利目的の物販などはできませんでしたが、今年4月に条例を改正して可能にしました。ゆくゆくは館内でも駄菓子などを販売し、子どもたちがそれを食べながら勉強する……という光景も見られるかもしれません」(西田館長)
条例まで変えたのは、図書館が単に「本を貸し借りする場所」ではなく、「人と人との関係性を生み出す情報発信の場」としての役割も期待されているからだという。
蔵書の傾向にも、それが表れている。蔵書数は近隣の分館も合わせて約30万冊。本館(煥章館)だけでも20万冊あり、高山市の歴史文化、ゆかりのある文学作品はもちろん、ビジネス、IT、学生の進路関連、資産形成などの本も多い。展示ブースも好評で、自然科学をはじめ、最近はシニア応援コーナーを設置。介護や認知症、成年後見制度や相続に関する資料も豊富だ。
「私の理想としては、高山市に住んでいる人が『いい町だなあ』と実感できること。図書館がその要素のひとつになれればいいな、と思っています」(西田館長)
飛騨高山文化に関する展示もあり、周辺には「飛騨高山まちの博物館」や戦国武将・金森長近ゆかりの「大雄寺」など観光スポットも多い。高山市を訪れるなら行って損はない。
●住所 岐阜県高山市馬場町2-115(電0577-32-3096)
●開館時間 月末の図書整理日や蔵書点検期間、年末年始を除く午前9時半~午後9時半
●アクセス JR高山駅から徒歩15分