「かわいそうな日本の老人」…訪日した中国人がタクシー運転手にギョッとするわけ
中国人が定年を心待ちにするのは、厚みのある年金が支給されるため。だが間もなくこのシナリオも崩壊する。というのも、中国では2035年までに公的年金の積立金が枯渇するといわれているからだ。今年9月の全人代(全国人民代表大会)で、定年年齢を来年1月から段階的に引き上げ、男性を現行の60歳から63歳に、女性を58歳まで延ばしたのもそのためだ。
これに対し大連市在住の会社員は「間もなく定年で楽できると思っていたが、9月に定年引き上げが発表された。これで年金生活は遠のいてしまいました」とじだんだを踏む。
■いずれ日本が“手本”と化す
実は定年引き上げには市民から猛烈な反発が上がっていた。労働者が層を成す中国だが、肉体的にも精神的にも厳しい低賃金労働なので、すぐにでもやめたいと願う人が多い。
「定年引き上げにより退職者が減れば、若者の就職の機会はますますなくなる」(前出の留学生)とする声もあった。新婚夫婦からすれば、高齢者(自分たちの父母)が働き続けることは育児支援者がいなくなることを意味する。