石破政権「高額療養費」引き上げ非情強行に国民激怒…「再検討」の不透明感に患者不安は増すばかり
なぜ英断しないのか。がん・難病患者らに負担増を強いる「高額療養費制度」の見直しに、石破政権が前のめりだ。患者団体や立憲民主党をはじめとする野党から「凍結」を求められているが、今年8月からの引き上げを強行。一部譲歩したものの、引き上げの既定路線は譲らない。最終的にどれだけの負担増が待ち受けているのか、ますます分からなくなってきた。
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「命に関わる制度であるからこそ、この持続可能性を維持していかねばならない」
3日の衆院予算委員会で、療養費制度の見直し凍結を改めて訴えた立憲の早稲田夕季議員に対し、石破首相は今国会で多用してきた常套句を並べた。難病などによって収入減を余儀なくされる患者にさらなる負担を押し付けておいて、「制度維持」とは論理がハチャメチャ。「命に関わるから」こそ立ち止まるべきなのだ。
度重なる凍結要求に重い腰を上げたかと思いきや、石破首相が先月28日の予算委で打ち出したのは問題先送りの弥縫策。当初、今年から再来年にかけて3段階で負担上限を引き上げる計画だったが、今年8月の引き上げは予定通り実施したうえで、来年以降について「再検討する」と表明した。
強硬姿勢を貫く石破政権に世論もカンカンだ。JNNの最新世論調査(1、2日実施)で、引き上げ方針に「納得できない」が56%にも上った。
事実上、来年以降の引き上げを白紙に戻したのだから、いっそのこと今年から「凍結」すればいいのに、なぜかたくなに引き上げにこだわるのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「石破政権は決して盤石とは言えません。少数政党だから予算折衝では野党の顔色をうかがいつつ官僚にも支えてもらわなければならない。政権基盤の弱さゆえ、引き上げを計画している厚労省や財務省を敵に回すことは避けたい。一方、見直しは命に関わる問題だから、『石破らしさ』に直結してしまう。見直し内容を修正して石破カラーを出したいが、官僚とも折り合いたい。そこで出したのが、折衷案の『再検討』なのでしょう」