
1932年福岡県生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。2002年には菊池寛賞、09年NHK放送文化賞、10年毎日出版文化賞特別賞を受賞。本紙連載「流されゆく日々」は16年9月5日に連載10000回を迎え、ギネス記録を更新中。小説以外にも幅広い批評活動を続ける。代表作に「風に吹かれて」「戒厳令の夜
」「風の王国
」「大河の一滴
」「TARIKI」「親鸞
」(三部作)など。最新作に「新 青春の門 第九部 漂流篇
」などがある。
連載12058回 「霧のカレリア」再読 <2>
(昨日のつづき)
私がはじめてフィンランドを訪れたのは、1965年の初夏だった。
シベリア経由で当時のソ連に入り、モスクワ、レニングラードから列車で北欧へむかった。私が30代半ばの頃である。
当時は、ようやく一般人の海外渡航が認められたばかりで、1ドル360円、ヤミで…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り796文字/全文937文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】