東レ(上)素材産業を代表する科学メーカー “黒いダイヤ”をはじめ技術力はピカイチ
さらに2011年に就航したB787では、主要構造材として炭素繊維が使われ、その比率は50%にも達している。航空機向け炭素繊維シェアでは断然の世界一だ。
海水を淡水化する時に使われるRO膜でも東レは高いシェアを誇る。地球温暖化もあり、水不足がさらに深刻になることが予想されるため、今後も需要は伸びていく。
またユニクロと共同開発したヒートテックやエアリズムなどで、繊維の新しい可能性を示すことにも成功した。
前3月期の売上高は2兆4893億円で前々期比11.7%と2桁成長だ。問題は、利益がそれについていかないことだ。前3月期の営業利益は1090億円で利益率は4.38%と5%に満たない。しかも前々期より利益率は落ちている。
日本の化学メーカーの利益率は総じて低く、5%に届かない企業はほかにもいくつもある。しかし世界に目を向ければ、世界の巨人たるダウ(米国)は9.4%、BASF(ドイツ)は7.9%(いずれも22年12月期)と東レを大きく上回る。
■商売下手の一面も…