インキ最大手DICの決算が真っ赤っ赤に…ドイツ企業からの買収は失敗だった?
買収したBASFの顔料事業は18のグループ会社と欧米韓11工場で構成されていた。買収金額は10.1億ユーロ(当時のレートで約1290億円)。DICのこれまでのM&Aでは最大のディールだった。それがわずか2年半で多額の損失を出すハメに。市場関係者の一人は「果たして厳格な資産査定(デューデリジェンス)が行われていたのか」として首をひねる。
DIC経営陣は当時、25年12月期で「売上高1兆円、営業利益1000億円」の“野望”を掲げていた。金融筋からは「その達成を焦るあまりデューデリが甘くなったのでは」との見方も飛ぶ。
確かに売上高目標は22年12月期に前倒しでクリアしたものの、利益は逆に目減りするばかりだ。2月には利益目標値の400億円への引き下げを迫られた。
業績悪化を受けてDICでは執行役員賞与の減額を打ち出した。社長と副社長は23年12月期業績にかかる賞与を「支給なし」とする。
「当然では」。同情の声はどこからも聞こえない。