著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

給与のデジタル払い 解禁から間もなく1年も導入進まず…いまだに申請事業者は4社だけ?

公開日: 更新日:

 しかし、「デジタルマネーの事業者が経営破綻した場合に給与などの支払いが滞る恐れがある」「マネーロンダリングに悪用される懸念も残る」など数々の問題点が銀行界などから指摘された。

 このためサービスを提供する資金移動業者は金融庁に登録した上で、厚労相の指定を受けることを義務付け、かつ指定を受ける資金移動業者は、財産的基礎を有するかを個別に審査される。

 さらに新たに口座残高上限額を100万円以下に設定している資金移動業者に限定することや、破綻時に口座残高全額をすみやかに労働者に保証する(保証機関と契約)ことなどの要件が加わった。また、月1回は手数料なくATMなどで換金できることも条件となる。これら労働者の保護を目的とした制度面の制約やコスト増もあり、参入する資金移動業者の多くは二の足を踏んでいるのだ。

 また、デジタルマネーで支払われる給与は、犯罪者にとっては格好の標的となる可能性もある。20年に発生したドコモ口座を介した銀行預金の不正流出問題に類似したシステムの抜け穴を突いた犯罪も起こる可能性は捨てきれない。「スマホのウォレットから知らないうちに給与が引き出されていた」といった事態にならないよう万全の措置を講じなければならない。審査が長引くのも無理もないことか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース