給与のデジタル払い 解禁から間もなく1年も導入進まず…いまだに申請事業者は4社だけ?
DX社会を象徴する画期的な新サービスとみられている給与のデジタル払いが遅々として進んでいない。給与のデジタル払いは昨年4月に解禁されたが、1年近くが経過したいまも導入したという企業は聞いたことがない。それもそのはず、所管する厚生労働省に申請した事業者は、PayPay、auペイメント、楽天グループ、「Airペイ」を展開するリクルートホールディングスの4社にとどまり、審査そのものが長引いているためだ。
給与のデジタル払いは、銀行口座を介さずにスマートフォンの資金決済アプリ口座に給与を直接入金できるようにするものだ。労働基準法では企業などの雇用主は現金で賃金を支払うことを原則として定められているが、例外として厚生労働省令で銀行振り込みなども認められている。
この例外規定に資金移動業者のアカウントも加え、デジタルマネーでの支払いを可能にするもの。米国では「ペイロール」と呼ばれるプリペイドカードに給与を振り込む仕組みがあり、2022年で推計約840万枚が利用されている。日本でも同様の仕組みを導入することで、キャッシュレス決済拡大の起爆剤としたいという政府の思惑がある。